パスピエNEWミニアルバム『OTONARIさん』感想

やおたくや(Dr.)の脱退により4人体制になってから初の音源となるパスピエのNEWミニアルバム『OTONARIさん』

ミニアルバム形態としての発売は2012年発売のミニアルバム『ONOMIMONO』以来であり、音源としては2017年1月のフルアルバム『&DNA』以来の発売です。

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楽曲情報

・アルバム名:OTONARIさん

・レーベル:ワーナーミュージック・ジャパン

・収録時間:27分

・発売日:2017年10月18日発売

・収録曲:

M1:音の鳴る方へ
M2:あかつき ※インターハイ2017 読売新聞CMタイアップソング
M3:EVE
M4:(dis)communication
M5:空
M6:ポオトレイト
M7:正しいままではいられない

全体の感想

やはり特筆すべき点は、やおたくや(Dr.)の脱退後最初の作品という点でしょう。これまでもパスピエは新しいことを積極的に取り入れ、リスナー達を常に驚かせ続けてきましたが、今回はドラムという大黒柱を失ったことから必然的に新しくならざるを得ない、という状況になりました。

今までのパスピエらしさは根底にありつつも、今ミニアルバムでは打ち込みサウンドの導入や、大胡田なつき(Vo.)のボーカルに対するオートチューンの積極的な採用、成田ハネダ(Key.)の斬新な鍵盤の使い方の導入などなど、新しい手法がふんだんに取り入れられています。

4人体制で楽曲制作に取り組むのは非常に難しさもあったのでしょうが、今までのパスピエ節を踏まえつつも新しい一歩を踏み出したミニアルバムに仕上がりました。

実際に聴いてみると今まで以上に深みを増した楽曲になっており聴いていてこれまで以上のパスピエの進化が感じ取れました。

本当にパスピエの楽曲の音が私は大好きで、やおたくや(Dr.)の脱退を経てもその面白みは変わらない、いや、さらに増していると感じました。

楽曲の感想

M1 音の鳴る方へ

物憂げな露崎義邦(Ba.)のベース音から始まるミニアルバム一発目の曲です。


ギターとベース音が絡み合う序奏がしばらく続いた後に大胡田なつき(Vo.)の力強い声でサビが歌い上げられます。

サビは独特のコード進行がとられており、序曲にふさわしい緊張感を醸し出しています。この曲においては、成田ハネダ(Key.)の超絶技巧的な鍵盤は控えられており、コードの骨格を鳴らし続ける役割に徹しています。

新しいことづくしの今ミニアルバムの中において一曲目に真っ向から楽器音で勝負している曲を持ってきたあたり、ドラム脱退後の新体制においても”音”で勝負していく、といった強い意思を感じました。

楽曲タイトル名も、新体制で何をしたらいいのか分からない状況で、「バンドらしくまず音を鳴らす」ところからスタートしていこう、という意味が込められていると解釈するのは勘ぐり過ぎでしょうか(笑)。

M2 あかつき

「インターハイ2017 読売新聞」CMタイアップソングにタイアップされた本曲。ミニアルバム発売前からも公表されており、フェスなんかでも既にちょくちょく演奏されてきたようです。

全曲とは一転して歌モノの曲です。PVも、大胡田なつき(Vo.)本人のみで構成された映像でかなり斬新ではないでしょうか。特にこの曲は歌詞を噛みしめたくなる曲です。

パスピエの楽曲は抽象的な歌詞が特徴とされており、その言葉遊びの面白さが支持される要因の一つでもありましたが、最近ではこの曲含めて意味の通った歌詞が多くなり、具現性を増してきたなと感じています。「変わりゆくことを臆さず行けよ」の部分はまさにパスピエを脱退したやおたくや(元Dr.)に向けたメッセージ以外には考えられないです。

新スタートを切るパスピエにとってこの曲はかなりキーとなる曲ではないでしょうか。しっとり聴くたびに胸に迫るものがある、そんな楽曲で、本ミニアルバムの中では個人的にこの曲がダントツで好きです。(前から聞きこんでいるというのもあるのでしょうが。。。)

M3 EVE

あかつきからのEVEという流れ。オルガンチックに響く鍵盤の音が印象的な曲です。

音の鳴らし方は新しい手法が取り入られているような気がしますが、曲の雰囲気はひと昔前のパスピエのそれが感じられて何とも不思議な気持ちになる曲。

全曲二曲が肩に力入る感じで聴く雰囲気の曲だったのでここではゆるっと聴かせてきます。

M4 (dis)communication

今までは、ああパスピエの楽曲だなって受け入られる曲でしたが、この曲から毛色ががらりと変わってきます。


この曲はパスピエの新たな挑戦がふんだんに盛り込まれておりますね。シンセの打ち込み音、大胡田なつき(Vo.)のヴォーカルに対するオートチューン処理などなど。しっとりとしたEDMを聴いていると錯覚してしまいそうになります。

あとここまで英詞が使われるというのも初の試みではないでしょうか。新しいパスピエの一面を見せてきましたね。大人っぽいテイストを出してきております。こういう楽曲もいいですねえ。成田ハネダ(Key.)の作曲センスには脱帽です。

クラシック肌の人がこの曲のようなEDMライクな曲を生み出すというのもなかなか面白いです。

M5 空

大胡田なつき(Vo.)の歌声をじっくりと聴かせてくる曲です。「君の思い出の一部になりたい」などグッとくる歌詞も特徴です。

ライブで聴いたら感極まって泣いてしまうこと間違いなしの曲です。全曲通じてしっとりと歌い上げてくれるのですが、最後は不気味な歌詞の繰り返しで楽曲は締めくくられます。

M6 ポオトレイト

この曲もM4 (dis)communication同様 、シンセによる打ち込み音が象徴的な楽曲。打ち込み音と楽器の生音、特に三澤勝洸(Gt.)のギター音とのせめぎあいが面白く、ライブではどのような演奏がなされるのか、非常に楽しみな楽曲です。

M7 正しいままではいられない

軽快なピアノの鍵盤音から始まる本アルバムのフィナーレ的作品。テンポも早く疾走感があります。まるでオーケストラの最終楽章のコーダのような雰囲気で成田ハネダ(Key.)のクラシック肌特有のエッセンスが取り込まれているように感じます。

「ギブとテイク」と同じような雰囲気をこの楽曲から感じ取りました。この曲はライブで是非成田ハネダの鍵盤さばきを見たいですねえ。

終盤はどんどん加速し楽器や鍵盤が最高潮の盛り上がりを示したのちに最後はフェイドアウト、本ミニアルバムのフィナーレを飾ります。

ライブ情報

本ミニアルバムを引っさげて、東名阪ツアーが行われます。

パスピエ TOUR 2017″OTONARIさんのONOMIMONO”

2017年11月10日(金)
東京·東京キネマ倶楽部

2017年11月11日(土)
東京·東京キネマ倶楽部

2017年11月15日(水)
愛知·ボトムライン

2017年11月17日(金)
大阪·味園ユニバース

チケット料金:3,800円(税込)※ドリンク代別

サポートドラマーは佐藤健介さん

特設サイトが開設されています。

今回のミニアルバム『OTONARIさん』および五年前にリリースされたミニアルバム『ONOMIMONO』のタイトル名を掲げたツアータイトル名となっております。

おそらくこの二枚のミニアルバムにフォーカスを当てたセットリストになることが予想されます。先述した通り、今回のミニアルバムは新たなスタートを切ったパスピエの挑戦が随所に散りばめた楽曲群でありますが、それとは対照的に昔のパスピエ節が強いアルバムである『ONOMIMONO』の楽曲群とどのように親和していくか、非常に興味がもたれるところであります。

昔のアルバム名を引っさげたツアーというのはパスピエに限らずかなりレアではないでしょうか。四人体制になったパスピエの新旧織り混ざったセットリストがどのようにライブハウスの空気を動かすのか、本当に楽しみです。

僕も大阪公演に参戦予定なので、またライブレポートでも書こうと思います!!!

まとめ

四人体制になって初めての作品は昔からのパスピエ節を残しつつも新たな挑戦がふんだんに取り入れられた、まさに新たなスタートダッシュにふさわしいミニアルバムに仕上がりました。

今ミニアルバムを引っさげたツアーも非常に楽しみであり、また、既に本ミニアルバムの対となるコンセプトを持つ次回作のリリースも示唆されており、ますます目が離せません。新生パスピエのさらなる快進撃に期待しないままではいられないです!